アジリティ

「アジリティ(Agility)」 は、サッカーを含め、多くのスポーツでよく使われる言葉ですが、日本語に訳すと敏捷性、俊敏性、機敏、軽快さといった意味になります。

聞き慣れた言葉でいうと「すばしっこさ」がピッタリくるでしょう。

単純な足の速さではなく、急激な方向転換や緩急を伴った動きをバランスを失わずに素早く行える能力のことを指します。

SAQトレーニングとは1980年代後半にアメリカで開発されたトレーニングメソッドです。 このSAQとは、以下のようにスポーツにおける速さの種類を3つに分けて考えるものですが、アジリティはSAQの中の「A(Agility)」に当たります。

スピード(Speed) 走りのトップスピードの速さ。いわゆる短距離走の速さがこれに当たります。

アジリティ(Agility) すばしっこさ(敏捷性)。減速から方向転換を伴う加速をバランスを取りながら行うこと。

クイックネス(Quickness) 停止状態からの反応の速さと最初の3歩くらいまでの速さのこと。

実際には、これら3つは明確に分けられるものではなく、重なり合う部分も大きいです。 とくにクイックネスとアジリティは「速さ」の種類が近く、アジリティトレーニングの多くはクイックネスも同時に鍛えることができます。

3つの速さ「SAQ」の中でも、アジリティはサッカーにおいて特に重要な能力といえるでしょう。 サッカーの試合では、フェイントや一瞬でマークを外す動き、あるいはディフェンス時にマークした相手に振り切られることなく対応する動きが求められます。 このような場面では、スピードに変化をつけたり急に進む方向を変えるアジリティを活かしたプレーが、絶大な効果を発揮します。

7~12歳頃、いわゆるプレゴールデンエイジからゴールデンエイジと言われる年代でトレーナビリティーが高いのが、アジリティ、バランス、コーディネーションといった神経系のフィジカル要素です。

アジリティを発揮するには、急な方向転換でもバランスを失わない能力や、体を無駄なくスムーズに動かす能力が必要になりますが、そのような能力はジュニア世代で著しく向上します。

いっぽう、ジュニア世代以降になると、体全体が大きくなり筋力も充実してきます。 そのため、よりハードなレベルで速く動く必要が出てきますので、筋力的負荷が増大し、その分神経系への刺激が低下してしまいます。 ですから、ジュニア世代では神経系の発達を促すアジリティを向上させ、速さの基礎部分を確立させることが望ましいのです。

ミニゲームやシュート前の動き出しの反復など、サッカーを通じてトレーニングすることができればベストです。 それだけでは足りない場合、ラダーやミニハードル、マーカーコーン等を使った各種ステップワークを行う必要があります。