集中力

集中力とは、簡単にいうと「ひとつのことに意識を持っていく」ことです。
そして、「いますべきことに意識を集中させる力」のことです。

集中力とは何かを知ることで、あなたも集中力を高め、いつでも、どこでも、誰といても集中することができるようになるはずです。

集中力とはライトのようなものです。
一点だけを照らし出すスポットライトと集中力はよく似ています。
スポットライトは一度にたくさんの場所を照らし出すことはできません。
集中力も同じで、一度にたくさんの事柄に集中することはできません。
言い換えれば、人は一つのことにしか集中できないのです。
一度にたくさんのことをしようとすると、逆に混乱して集中できていない状態になってしまいます。
このような状態を「過集中」といいます。

スポーツや自転車の運転中は、一度にたくさんのことをしています。
周りを見る、バランスをとる、ペダルをこぐ、ボールをける・つかむ…など。
これらの動作は日々のトレーニングによって可能になるわけですが、そこに普段と違う考えや、動作、歓声、指示などが入り込むと気になってしまい、過集中の状態になります。
スポットライトが動き回って、照らすべきことに焦点が定まらないのです。

集中力には受動的集中と能動的集中があります。
●受動的集中=集中させられている受け身の状態。切れやすく、散漫になりやすい。
●能動的集中=自分から集中している能動的な集中。好きなこと、興味が高まっている時の集中。

受動的な集中が高まっている時は、やらされている状態なので、ほかのことに集中のスポットライトが向きやすくなってしまいます。
一方、能動的な集中力が高まっている時は、自然にやるべきことに集中できます。
大切なのはもちろん、能動的な集中力をいかにして高めるかです。

能動的な集中力を高めるには、前述のように今すべきこと(もちろん1つのことです)を自分自身で確認する必要があります。

能動的な集中力が高まっている時は「興味・関心・期待・好意」が高まった状態です。
そうした状態をキープするには、興味や関心がわくこと、たとえば本屋さんに行って興味のある本を探す、知りたかったことをネットで検索してみるなど、積極的に行動することで、理想的な集中を維持することができます。
また、受動的な集中の状態にある時に、あえてこうした行動をとることで能動的な集中へと切り替えることも可能です。

一流スポーツ選手たちは、この集中を普段のトレーニングに取り入れ、試合で集中力を高めています。
スペインのリーガ・エスパニョーラ最高峰のサッカーチーム、レアル・マドリードのクリスチアーノ・ロナウド選手は、フリーキック前に5歩下がり、呼吸を整え、一点を見つめて集中し、自分の理想的なキックから生まれるボールの軌道をイメージしています。呼吸を整え、一点を見つめ、イメージをつくり、自分が培った集中力を最大に引出しているのです。当然トレーニングの時から準備された動作・手順です。

 このように、トレーニングから準備された集中力を高める一連の動作手順を、パフォーマンス・ルーティーンと呼びます。イチロー選手のバッターボックスでの独特な動作や、元横綱朝青龍関の独特な土俵作法なども、このパフォーマンス・ルーティーンだと考えられます。