ケガの対応
サッカーは身体の接触があるスポーツなのでどうしてもケガが多くなります。
心配になってしまいますが、ケガを最小限に留めるためにも、基本的な対処法を知っていると安心出来ますよね。
◆切り傷、擦り傷(大量の出血を伴わない)
・ 流水できれいに洗い、傷口を確認します。
※必ず水道から流れている水を使いましょう。バケツに溜めた水などは感染の原因になります。
・出血している部分にガーゼなどをあて、上からテーピングまたは包帯で固定します。
※傷口をティッシュで押さえると、後から取りにくいです。
※そのままプレーを続行する可能性もあるので、包帯よりもテーピングがずれにくいです。
◆鼻血
少年サッカーでは日常茶飯事な鼻血。ほとんどの場合心配することはありませんが、重要な場合もあります。
鼻血のほとんど(90%)はキーゼルバッハ部位(鼻の穴の少し 奥の毛細血管が多く集まった場所)というところから出血します。
軽い衝突やボールがぶつかった場合で出た鼻血は小鼻を上のほうからつまんで圧迫し、軽く下向きになって座って休みましょう。ただし下に向けすぎると、うっ血して出血量が多くなってしまいます。
少し多めの脱脂綿を丸くして鼻に詰めてください。
コットンパフのやわらかいところを使うこともできます。
のど(口)にまわってきた鼻血は、飲まないで吐き出しましょう。
そして何もよりも慌てずに、落ち着かせてあげましょう。
◆注意が必要な鼻血
頭や顔を強くぶつけた後の出血は頭蓋底骨折(頭蓋骨を支えている底の骨)による出血の可能性があります。
このときの出血は脳脊髄液(脳と脊髄の周りにある水)が一緒に流れて出てきますのでサラサラとした血が大量にでます。
この場合は、鼻に栓ををしないでください、そこから感染を起こすと大変なことになります。
すぐに救急車を呼びましょう。
◆捻挫・打撲・骨折・肉離れ
これらも接触プレーのあるサッカーでは、頻繁に遭遇します。
プレーが継続できないような場合は、捻挫なのか?打撲なのか?骨折なのか?その判断は医師に任せて応急処置の準備をします。
応急処置の基本はRICE処置(ライス処置)です。
◆RICE処置
・Rest:安静
ケガをしたら動きを止め、患部及びその周辺部位を安静にします。また、ケガをした本人も落ち着かせてあげましょう。
こうすることで痛みが増すのを防ぎ、自然治癒力を高めます。
・Ice:冷却
冷たい水や氷で患部を冷やして、血管を収縮させます。
腫れを予防:血管の収縮により腫れの原因である体液の流出を防げます。
低酸素障害の予防:アイシングにより代謝速度が低下し細胞が必要な酸素量を減らせます。これにより患部や幹部周辺の細胞が酸欠になるのを抑えられます。
痛みの減少:痛覚の神経は冷たさを感じる神経に囲まれています。患部を冷やしている間はこの痛みの神経伝達を止めます。これを「ゲートコントロール」と言います。
※冷やし過ぎると修復に必要な反応も遅れる為、注意が必要です。
・Compression:圧迫
テーピングや包帯などで患部を圧迫して内出血、及びそこから腫れが酷くなるのを防ぎます。
骨折以外では冷却よりも優先した方が良いとも言われています。出来る限り継続して行いましょう。
・Elevation:拳上
患部を心臓より高くして、流れ込む血液や体液の量を減らします。
患部自体はもちろん、体を横にして心臓より高くなりやすい様にすると良いです。
近年ではRICEの前にProtectionが加わっています。
難しいものではないので、スポーツに携わる方は応急処置の基本として覚えておきましょう。
・Protection:固定
骨折の場合はギブスなどすぐ想像できるかと思いますが、例えば突き指などでもテーピングや添え木などで患部を動かさない様にします。患部を固定することで負荷を減らしたり、二次傷害の防止になります。
◆搬送時の注意点
プレーの続行が不可能と判断した場合はコーチが速やかにピッチの外へ搬送します。
少年サッカーの場合はおんぶして搬送できる場合がほとんどですが、見た目から明らかに患部が変形している場合は患部を動かさないように複数人で搬送しましょう。
強く頭部を打った、重症の熱中症などでその場で意識を失った選手はプレーを中断させたまま、コーチや保護者の3人以上で頭を高くしないように搬送し、同時に救急車を呼びましょう。
どのような怪我の場合でも応急処置にあたる、指導者や保護者の方は慌てて、興奮してしまいます。
しかし、応急処置の知識を少しでも持っていれば、落ち着いて対処できるので、子どもたちの怪我を最小限に納める事ができます。